こんにちは。
今回は秋も深まり、朝晩の気温もだいぶ下がってきた今日この頃ということで、入浴検定での学習内容の中から「入浴に関する死亡事故を防ぐ方法」について、ご紹介しようと思います。
外気温が低くなれば当然、いつもより熱いお風呂に浸かりたくなりますよね。夏はシャワーだけど、冬はお風呂に浸かるよ、という方も多いのでは無いでしょうか?
そうするとどうしても増えてきてしまうのが、「入浴に関する死亡事故」などの悲しいニュース。
もちろん大前提として、お風呂に浸かることは基本的にはカラダに良いことです。詳しくは別途解説した記事がありますので参考までに。
しかし、さまざまな条件が重なると、死亡事故などにつながってしまう危険もありますので、本記事を読んでぜひ気をつけて下さい。
入浴に関連した死亡事故ってどのくらいあるの?
前提として、シャワー文化が根強い欧米諸国に比べて、毎日のようにお風呂に浸かる文化がある日本は、どうしても死亡事故が多くなります。
入浴検定公式テキストによると、厚生労働省の研究班による入浴に関連した日本国内の死亡者数は1年間で約1万9千人と推定されてるそうです。
交通事故による死亡者数がだいたい1年間で3,500人くらいなので、その数の多さが分かりますね。
なぜ事故が起きてしまうの?
お風呂で事故が起きてしまうことにおいて重要なキーワードはズバリ「血圧の急激な変化」です。
お風呂を通して僕らの血圧はどのように変化するのでしょう?
「お風呂に入る」という一連の流れの中で、血圧の変化がみられるタイミングを5つに分けてみました。
- リビング→脱衣所(浴室)の温度差による血圧上昇
- 浴室→浴槽の温度差による更なる血圧上昇
- 入浴の水圧作用による心臓や脳の血圧上昇
- 末梢血管の血流上昇による血圧低下
- 浴槽→浴室の水圧作用が無くなることによる上半身の血圧低下
1つずつ詳しく見てみましょう。
①リビング→脱衣所(浴室)の温度差による血圧上昇
特にこれからの季節に気をつけて欲しいのが「温度差」です。ぬくぬくとしたリビングから、寒~い脱衣所で裸になると、その寒さがカラダに対する刺激になって、急激に血管が収縮し血圧が上がります。
②浴室→浴槽の温度差による更なる血圧上昇
そして、寒~いのは脱衣所だけではなく、浴室も最初は寒いですよね。そんな低気温の浴室から、42℃を超えるような高温のお湯に浸かったら、冷え切ったカラダが一気に温められるので、さらに血圧が上がります。ここでも温度差ですね。
③入浴の水圧作用による心臓や脳の血圧上昇
水圧作用の細かい説明は割愛しますが、重力によって下半身に集まっていた血液が、水圧によって上半身に押し戻されることによって、心臓や脳の血圧が上昇するということです。ここまで3段階で血圧が上がっていますね。
このように、血管に急激に高い圧力がかかると、高齢の方など血管が硬くなってきている方は血管が破れてしまうおそれがあります。
④末梢血管の血流上昇による血圧低下
そして、そのままお風呂に浸かっていると、カラダの表面などの末梢の血管が拡がるため、どんどん血圧が下がっていきます。
⑤浴槽→浴室の水圧作用が無くなることによる上半身の血圧低下
そうしてお風呂を楽しんだあと、最後はお風呂から出ますね。お風呂から上がると、③の水圧が無くなることで、上半身に押し戻されていた血液が一気に下半身にまわります。
すると、脳の血流が一気に下がるため、立ちくらみや転倒の危険性も高まります。
カラダへの負荷は良し悪し
このように僕らは、お風呂を通して毎日「急激な血圧の変化」を経験しています。カラダに適度な負荷をかけることは、血流を上げてくれることで健康にもつながりますので、決して悪いことではありません。しかし、脳や心臓に動脈硬化があるような方には心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まりますし、のぼせると溺死や転倒のおそれも高くなりますので注意が必要です。
ちなみに、血圧の変化以外にも、入浴による「発汗」にも注意が必要です。長湯をすればそれだけ汗をかきますので、カラダは脱水状態になります。そうすると今度は血がドロドロになって凝固が起こりやすくなります。血がドロドロになればそれだけ血管を詰まらせてしまう危険が高くなりますので、この点にも留意する必要があります。
事故を防ぐための10のアクションプラン
では、溺死や転倒、心筋梗塞や脳梗塞などによる「お風呂に関わる死亡事故」を防ぐためにはどうしたらいいのか。そのための10個のアクションプランを紹介します。
- 脱衣室を暖房やヒーターで温めておく
- 浴室はシャワーや湯船の蓋を開けたりして蒸気を立たせて温めておく
- 湯温は熱くしすぎない(42度以下)
- かけ湯(心臓から遠い四肢からスタート)をしてから浴槽に浸かる
- 長湯をしない
- 浴槽で居眠りをせず、意識が遠のくのを感じたら、一旦浴槽から出る
- 浴槽から立ち上がる時や浴室内の移動では、急激な動きはしない
- 心臓に疾患を持つ場合、半身浴が望ましい
- 食事直後、飲酒後には入浴しない
- お風呂の前後に水をコップ1杯飲む
(引用 入浴検定公式テキスト)
10個に分けると細かくて「多い!」と思ってしまうかもしれませんが、1つ1つは当たり前のことばかり。ちょっとした意識の違いで、危険を避けることができます。
ポイントは大きく分けると以下の3つ。
- カラダが感じる負荷・温度差を極力小さくなだらかにする
- 心配があれば無理しない
- 入浴前後のコンディションにも気をつける
お風呂は僕たちのカラダにたくさんのイイコトをもたらしてくれますが、一歩間違えれば命を奪いかねないワルイコトも孕んでいます。
自分だけでは無くご家族のお風呂生活が安心安全になるよう、上記の10個のアクションプラン、3つの注意ポイントを意識して、お風呂のイイコトだけを存分にGETしちゃいましょう!
まとめ
最後にもう一度、交通事故よりも多い「入浴に関する死亡事故」を防ぐためのアクションプラン10個と、注意ポイント3点をおさらい。
- 脱衣室を暖房やヒーターで温めておく
- 浴室はシャワーや湯船の蓋を開けたりして蒸気を立たせて温めておく
- 湯温は熱くしすぎない(42度以下)
- かけ湯(心臓から遠い四肢からスタート)をしてから浴槽に浸かる
- 長湯をしない
- 浴槽で居眠りをせず、意識が遠のくのを感じたら、一旦浴槽から出る
- 浴槽から立ち上がる時や浴室内の移動では、急激な動きはしない
- 心臓に疾患を持つ場合、半身浴が望ましい
- 食事直後、飲酒後には入浴しない
- お風呂の前後に水をコップ1杯飲む
(引用 入浴検定公式テキスト)
- カラダが感じる負荷・温度差を極力小さくなだらかにする
- 心配があれば無理しない
- 前後のコンディションにも気をつける
きちんと事故を防ぐための対策をすれば、お風呂は心身の健康増進や美容にとっても効果的です。
また、入浴中の事故を防ぐという点では、銭湯や公衆浴場に足を運ぶのも効果的です。まわりに必ず人がいるので、死亡事故などにつながる危険性は格段に下がりますし、施設が大きく空間が広いので、脱衣所や浴室の温度差が家風呂よりもなだらかになります。これによって、血圧の急激な変化を防ぐことができます。
いつもより広く大きな浴槽に浸かることでリラックス効果も高まりますので、ちょっと足を伸ばして銭湯に行ってみるのはいかがでしょうか。
これらのような入浴に関するさまざまな知識を総合的に学ぶことができるのが「入浴検定」です。
もし興味のある方は、ぜひ一度テキストを読んでみて下さいね。
※決して日本入浴協会の回し者では無い笑
ではでは☆